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タゴロロームでは、ボルミスとヘルデンがかつての敵アルハインド族と交易を拡大する事によって友好状態を保っています。ボルマンスクを併せ、ほぼ王国全土を我が軍が掌握している状態です。」
「よくぞ、此処まで来たものです。モルフィネスさんの手腕のお陰です。それでは、今後の事を決定する為に『御前会議』を開きたいですので、主立った人達を召集して下さい。遠くタゴロロームにいるヘルデンさんやボルミスさんも呼んで下さい。そこで、今後のゴロデリア王国の人事を取り決めます。それから、その後すぐに私は王位を継承して人事の任命も行うつもりですから、併せてそれの手配も進めて下さい。」
エレナはそう宣言した。堂々たる口調であった。 ハンベエがイザベラの部屋にやって来ると、イザベラ当人とロキ、ヒューゴ、レンホーセンが集まっていた。更にイザベラの側にはハイジラが大人しく座っている。皆椅子に座っている。
「随分と集まってるな。ボルマンスクの方は大丈夫なのかい?」
とハンベエは一同を見回して言った。言いながら、余っている椅子を部屋の隅から引っ張って来て腰掛けた。
「ハンベエとモルフィネスだけにしてたら、何を起こすか分からないから飛んで来たんだよお。大急ぎで『御前会議』を召集して今後の事を決めてしまう為にね。向こうは平穏無事よお。例のナーザレフ一派の悪い奴等もあらかた捕らえたし、教団はスラープチンが教祖に収まって真っ当な道へ導いて行く形が整ったしね。モルフィネスに殺されかけたんだって?」
とロキが早口で言い返した。
「おっ、上手く進んでるのか、流石ロキだ。しかし、モルフィネスの奴、そんな事まで報告したのか。」
「そうだよ。細大漏らさず、報告書に記して有ったよ。ハンベエもまあ、良くモルフィネスを斬らずに済ませたねえ。」
「そうだなあ。」
ロキの言葉にハンベエは他人事のように答えた。
「ところで、イザベラから相談事が有ると言われて来たんだが。」
とハンベエは向きをイザベラに変えた。
「その事なんだがねえ・・・・・・。実はアタシは・・・・・・。」
とイザベラはこの期に及んで何故か少し説明し辛そうに口籠もった。
「イザベラは今更ハンベエに自分の身の上話をするのが気恥ずかしいみたいだから、オイラが話すよお。良いだろう、イザベラ。」
それを見て横からロキが入って来た。
イザベラはこの何時も人を食った挑発的な物腰のおあ姐さんには似合わぬ少女のような面持ちでロキに肯いた。
「実はイザベラはトントシランという小国の王女様で十歳の時に、叔父に両親を殺されて王国を簒奪され自らも逐われた上に、懸賞金を掛けれて国から追われてる身の上なんだよお。」
「え? イザベラも王女なのか。」
ロキの言葉にハンベエは驚いてマジマジとイザベラを見詰めた。イザベラは何だか気まずそうにそっぽを向いている。「それでだよお。イザベラはゴロデリア王国の内乱に一区切りついたので、今度は自分の国を取り戻そうと思っているだよお。それで、レンホーセンと騎馬傭兵部隊がそれに手を貸す。それからヒューゴ。更には王女様からは特別遊撃隊の派遣の話がもう纏まっている。その上で、どうしてもイザベラが手助けをして欲しい人間がもう一人居る。と言えば、ハンベエ。察しがつくだろお。」
「成る程、それは耳寄りな話だ。喜んで手を手を貸すぜ、イザベラ。」
とハンベエは身を乗り出した。
「アタシが王女だなんて、笑っちゃうだろう、ハンベエ。」
自嘲気味にイザベラが言った。
「笑わん。別に可笑しくは無い話だ。」
ハンベエはさらっと言った。
「俺にとっても好都合と言うか、有難い話だ。で、予定はどうなっている?」
「エレナが王位に就いて、この国の新しい顔触れが決まったらすぐに出掛けようと思ってるんだけど。」
ハンベエが茶化さなかったので、イザベラも漸く自然な口調で答えた。
「やっぱり、ハンベエは話が早いや。」
ロキはニンマリと笑った。
「ロキはどうするんだ。まさか、ロキも参加するつもりなのか?」
ハンベエは今度は少し心配げにロキに尋ねた。