[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「陳紀殿が編制を行い、陳葦殿を主将に辛批殿、杜襲殿、趙厳殿が率いております。我が君は趙厳殿が?」
あの南方避難組だな、そいつらしか俺に関わり合いが無いからここ一番で手を貸すってことにもならんか。平時なら少しくらい荀彧の顔を立てる意味で手助けしたとしてもだぞ。
「ああ、間違いなくあいつが一番伸びる。ここだけの話、張遼や文聘、甘寧らを束ねる将軍に成長すると思っているんだ」
言い過ぎだろうか、公司秘書 張遼が大物になるのは確定だが、それを越えるかどうかというと五分五分なんだよな。どこかで早いうちに経験を一つ積ませたら、並ぶのは早いはずだ。伊達に数多くの奴らを育ててきたわけじゃないぞ。
「ほう……優秀であるとは見ておりましたが、そこまでとは。それでしたら郷土軍ではなく、こちらに引き上げてはいかがでしょうか」
「ふむ。傍に置くのは構わんのだが、趙厳がうんというものか?」
あいつにだって選ぶ権利はあるぞ。折角避難していたのに、その地から引き戻した上に、渦中の洛陽に来いとはとんだ話だからな。
「彼の者であれば、真っ当な話をきっちりと守るならば嫌とは言いますまい。曲がったことが嫌いなのですが、他者と折り合いを悪くすることもありませんので」
コミュ力高めの男ってことか。羅憲のような感じなのかもな、衝突しないで組み合わせられるなら便利だぞ。
「軍従事として呼び寄せて欲しい」
「御意」 荀彧が引き下がって行く。洛陽内の様子を探るために、市民の装いをさせて兵を散らしてはいるが、これといった急報は入って来ない。屋敷とその周辺にだけでなく、城外に騎兵を置いたりして時が過ぎるのを待つ。明日になれば上へ下への大騒動だな。変に笑えてしまう、自分がそんなことに関わることになるとは。
陽が暮れて早めに休もうとすると、甲冑に身を包んだ男が屋敷へとやって来た。俺のところの兵じゃないぞ。
「島将軍へ申し上げます。自分は大将軍府属の舎人、今日の夕刻、何大将軍は宮廷にて落命なされました!」
「なんだって!」
あいつ、ノコノコと宮廷に上がったというのか! なんと愚かな!
「詳細を」
「宮廷で大将軍が謁見に向かったところ、宦官らに取り囲まれ刃にて命を。情報が外に漏れるまでに時間が掛かりましたが、現在関係各所に伝令を出しているところで御座います!」
むむむ、明日行動しようとしていたが先んじられたか。何進が大人しくしていればこちらが先手を取れたものを……文句を言っても始まらん、ことは起こった!
「部将を招集し、兵に武装待機を命じろ! 時代が動くぞ」
自らも甲冑をつけて屋敷の中庭へと出る。そこには既に見知った者らが集まってて、相互に情報を交換していた。
「荀彧、こちらが後手に回った」
悔しさを隠そうともせずに、しかめっ面を晒す。計画を知っていた者らは皆同じ気分だ。
「ですが兵は招集してありいつでも行動が可能です、不幸中の幸いとはこれでしょう。我が主、宮へ乗り込みましょう」 事前計画では俺は外を受け持つことになっていたが、準備不足の今、宮内で兵力不足を起こしているかも知れん。
「文聘と典偉は、郷土兵と武兵団、泰山兵を率いて城門北で待機だ」
「承知しました将軍。典偉殿、参りましょう」
文聘が主導して少数と共にさっさと屋敷を出て行く。あの兵らは内城に入れる資格がないからな、それに分離しておいたほうが都合が良い。
「残りは俺と車騎府へ向かうぞ!」