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「俺の窮地など、自身の知恵と勇気でどうとでも切り抜けてみせる。張遼という大切な部将を失う可能性が減らせるなら、弩くらい喜んで持たせる。それだけだ」
そう言うと文聘は真剣な面持ちになり膝をつき「文仲業、島別部殿を敬服致します!」礼をとる。俺も片膝をついて肩に手をやり「文聘、お前のことも失うつもりはない。勝手に死んでくれるなよ」笑いかけてやる。やりたいようにやる、それだけだ。◇
想定内といえばそうだが涅陽は張遼が奪取した、どうにも一部の騎兵で城門に突撃し、それを歩兵がやってくるまで維持しての電撃的城内制圧だったらしい。これをやられたらどんな城もあっさりと侵入をゆるしてしまうので、個人の武勇というのは恐ろしいと思わせるところ。
ここ涅陽から宛までは二十五キロ、https://www.easycorp.com.hk/zh/trademark 街道もあるので軍で二日の距離にある。そんな場所をとられて平気な顔をしていられるのは、大軍を擁しているか、センスがないやつらなのか。そうでなければ排除に、或いは防備に繰り出してくるはずだ。
結論から言えば敵軍が進出してきた。黙ってい見ていたら抗議が殺到するような状況、敵も一万を宛から一日、つまりは双方の中間地点に押し出して来る。石来郷という場所に本陣を置いて、こちらの様子を伺い始めた。
「ついに野戦だな」
涅陽城に集まり楼閣の上から遠くを見る。うっすらと黒い米粒のような塊がうごめいているのが見えたような気がする。十キロでは視力いかんで気づけんだろう、少なくとも俺は言われて目を細めても首をかしげたくなるような何かしか感じられない。
「俺が一戦してこようか?」
意気揚々の張遼が賊など何するものぞと申し出て来た。まあそれでも良いが、ただ引っ掻き回すだけで引き返されたらたまらん。城に入られるとその先がな。
「どうせならただ勝つだけでなく、全滅を目標にしていきたい。張遼、お前ならどうする?」
にやっとしてハードルを上げてやる。勝てと言われたら真っすぐに進んで勝つくらいは俺でも知ってる、その先だよ戦というのは。真剣になり周辺の地図を描いた布切れを見て、空を見あげる。「もし前後不覚といえるほどの失態を犯したならば、宛、つまりは北へと逃げようとするだろう。ならばその方向から攻撃を受けて崩れたら?」
「四散するな。前は敵陣、後ろも敵軍ならば東西何かある場所に身を隠そうと考えそうなものだ」
西は平野が広がっているので視界が開けている、東は任庄山とかいう名の小さな山があった。
「迂回して攻めるならば、この張文遠に命令を」
「ふむ。ではこうしよう、張遼は兵五千を率いて払暁で石来郷を背後から攻めたてろ」
「五千? 半数も割いてしまうと支障をきたすのではないか」
それはそう思うよな、まあ俺もそんな気はする。だがここで奇襲が失敗したらどうにもならない、一度崩してしまえば後は運用次第だよ。
「多勢で押さねば崩すのに苦労するからな。俺は兵三千で正面に進出、典偉は弩三百と兵千で任庄山に伏せて敗走する賊が見えたら撃退しろ」
「わかった、親分」
張遼が攻略に使った弩を今度は待ち伏せで活用することにした。城の守りは応佐司馬の兵七百と県の守備隊三百あれば充分、万が一どこからか別の敵が現れても一か月でも耐えられる。何せこの時代、城を物理的に攻めるのは至難の業だ。攻城兵器がないと人力では何年あってもまず死体の山を築くだけで終わる。
「やはり島殿の兵力が不足するように思えるが」
「だな。それを何とかするのが俺の役目だ、張遼は迂回攻撃のことに集中しろ。実行は明日の未明だ」